AJFの活動

食料安全保障とは

目次

食料安全保障の定義

「食料安全保障はすべての人が、いかなる時でも、活動的で健康な生活を営むために十分な食料にアクセスすることができること。」(世界銀行)

「生産と価格の変動に左右されることなく食料消費が着実に拡大していくことに対応し、いかなる時でも基本的食料を十分に世界的に供給することのできること」(世界食糧会議、1974)

「食料安全保障とはすべての人々が何時でも彼らが必要とする基本的な食料へ物理的、経済的にアクセスすることを保障することである」(FAO、1983)

「すべての人々が、活動的で健康な人生を送れるように、食事のニーズと食べ物の好みを満たしながら、十分な量の安全で栄養豊かな食料に、いつでも物理的かつ経済的にアクセスできるようにすること」(世界食料サミット、1996)

食料安全保障の要素

食料安全保障の議論は一般に、以下の3つの要素に分けて論じられることが多い。

  1. 食料の入手可能性
    食料入手源・・・国内生産、商業的輸入、食料援助、食料備蓄

  2. 食料へのアクセス
    人々の食料へのエンタイトルメント(=人々が食料を生産したり、購入したり、あるいは受け取ったりできる能力)に着目

  3. 食料の分配と利用
    食料の加工・分配・利用のされ方、特に家庭内の個人間の食料分配や、消費した食料に含まれている栄養を吸収・利用する個人の能力に注目

食料安全保障の阻害要因

人々の食料へのアクセスは以下のような要因によって妨げられている。

旱魃

洪水

政府の政策(あるいは無策)

グローバリゼーション

砂漠化の進行

食料価格の高騰

慢性的貧困

武力紛争

アフリカにおける食料問題は、単に食料増産によるだけでは解決されない。

世界食糧計画(WFP)によると、今日、世界には全ての人が健康で生産的な生活を送るために必要な栄養分を摂取するのに十分な食料があるにもかかわらず、食料危機が毎年発生している。

たとえ国内生産が十分であったとしても、貧困の水準や世帯の購買力を考慮に入れた食料分配システム、また、流通や市場インフラなどのアクセス面で問題がある。

2005年から06年にかけて食料危機が生じた西アフリカのニジェールでの食料不足は食料生産の問題と言うよりは、むしろ配分の問題だそうである。

また、キャッサバの世界最大の生産国であるナイジェリアでは、生産量の7割が国内で消費される一方で、生産量の3割近くが流通過程で損傷し破棄されていると言われている。

食料不足、食料問題が取り上げられる際に、解決手段として食料増産が考えられることが多いが、この例から、配分、流通、貿易、グローバル化など全体としての食料安全保障を考える必要があることがわかる。

またこれらの問題を解決することで、生産された食料を無駄なく利用することが可能となる。また、国内消費の余剰分を輸出することで外貨収入源の拡大にもつながるかもしれない。

以上、「アフリカの食料安全保障を考える」より
アフリカにおける食料の「流通・販売」「加工・貯蔵」については、別項で詳しく紹介しています >>>

食料安全保障の課題

食料安全保障の達成とは、アフリカのすべての人々が健康的な生活を送るに必要な食料を十分に、そしていつでも入手できる状態をいう。食料の援助や輸入に依存しても十分な食料を入手できるかもしれないが、現在のアフリカの経済状況では輸入に全面的に依存することは困難だし、恒常的援助依存も健全ではない。したがって、ここでは、アフリカ各国ができるだけ食料生産の国内自給力を高めることに重点を置きたい。「自らが食する物を自らの手で作り、採集し、調理する」が基本である。

以上、「食料安全保障研究会の提言書」より

食料安全保障研究会では、以下のような研究課題を掲げ活動している。

  1. 2003年の第3回TICADに、AJFとしての提言のなかで重点として掲げたように、多様なアフリカの営農体系にそった土壌改善、肥沃度回復の方策の検討。
  2. 小農民の参加によるアフリカ現地の農業普及活動の構築に関する検討。
  3. 多様で健康的な住民の食生活を可能とする条件の追求。
  4. これらを支える国際的環境整備。

以上、「食料安全保障研究会とは」より

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