AJFの活動

ナンプーラ宣言

日本にもプロサバンナ事業の問題を訴えるために2度にわたって来日したUNAC(モザンビーク全国農民連合)が今年度(2014年度)の総会で発した宣言です。


ナンプーラ宣言
UNAC(全国農民連合)2014年度年次総会
2014年4月19日〜5月1日開催

(日本語訳 *英語版をもとに原文[ポルトガル語]参照)
http://www.unac.org.mz/index.php/7-blog/79-declaracao-da-assembleia-geral-ordinaria-da-unac-2014

モザンビーク全国農民連合(UNAC)は、25年以上にもわたり、モザンビークの農民男女の社会的、経済的、文化的諸権利と食料主権を守るために闘ってきたモザンビークの小農運動であり、10万を超えるメンバーを代表する。UNACは、国のすべての州から派遣された小農運動の指導者、招待された男性、女性、若者ら100名の出席のもと、4月29日から5月1日までナンプーラ州ナンプーラ市近郊のキンタ・ナサ(Quinta Nasa)に結集し、年次総会を開催し、2014年度活動方針を決定した。

ナンプーラでの総会は、わが国が政治的軍事的な緊張の高まりの中、国民和解と平和の定着そして民主的プロセスの深化が危機に瀕する最中に開催された。この間の緊張の高まりは、数千もの農民男女――とりわけ紛争が実際に起きている地域で暮らす農民男女――に大きな被害を及ぼしている。これに加え、我々農民男女にとっては、全国的な緊急事態が生じている。それは、国家開発政策――特に農業部門に焦点を置いた政策の策定と優先課題設定――に関し農民が周辺化され排除されていること、農民の土地の権利が鉱山開発、水力発電、アグリビジネスの巨大プロジェクトやその他の民間投資・公共投資によって体系的に剥奪されていること、そして政府の一部とその他の人々による土地を使った利益誘導や私有化の企みの継続である。これに対して我々は立場を明確にし、抵抗と闘争の方針を強固にしなければならない。

ナンプーラ総会では、我々の運動とわが国の現状を踏まえ、重要な戦略的手段―とりわけ2013年度活動・決算報告および2014年度活動計画案・予算案――を分析し、これを承認した。また、次の点について注目し深い議論を行った。現在の政治・軍事状況と農民の生活および農業生産に及ぼす影響、プロサバンナ・プログラムとそれに対しナカラ回廊の農民コミュニティとその他の農民の運動が一体となって取り組む抵抗メカニズムのための戦略、モザンビーク各地で急増する土地収奪のプロセスとそれに伴う紛争、自然災害の状況、各地で計画されている巨大プロジェクトと開発がコミュニティに及ぼす悪影響、モザンビークにおける環境保全型農業とタネ、UNAC内のジェンダー・ポリシー、家族農業支援国家計画、そして国際家族農業年と小農家族にとってのその意義である。

プロサバンナ・プログラムの緊急停止を求める公開書簡は、UNACと国内の20を超える機関によって、モザンビークおよびブラジルの大統領と日本の首相に宛てて送られたが、未だに返答はない。ナンプーラ総会において、モザンビーク各地から参加した小農のリーダーたちや参加男女若者らは、プロサバンナに反対すること、そして全国規模の抵抗運動のロードマップとアジェンダを作成することを繰り返し確認した。

我々、参集した農民男女は、プロサバンナ対象郡の小農運動の指導部、個々の農民男女に対して行われている迫害、脅迫、買収そして情報操作に強く抗議し反対する。これらの行為は、プロサバンナ調整チーム、郡行政当局、そして政府高官に主導され、プロサバンナ関係者と国家の指導部によるものである。ナンプーラ総会では、今後UNACがこれらの行為に黙って耐えることがないこと、またこれらの行為の推進者や主導者がモザンビーク人であれ外国人であれ、彼らを法的に告発していくことが誓約された。

「グルエ郡やアルト・モロクエ郡では、農民男女が複数の企業から圧迫を受けて悲惨な暮らしと飢餓への道程を歩まされている。1975年にわが国は独立し、その後平和を取り戻した。しかし、今日、再び多くのコミュニティが企業そして政府の抑圧から免れられなくなっている。これら(プロサバンナ対象郡)のある郡長は、プロサバンナの悪口を言おうとする者は牢屋に入れると発言している。」

ナンプーラ総会では、家族農業支援国家計画の草案も提示され、議論された。この計画は、農業政策に対するUNACの提案であり、モザンビーク政府に提示するためUNACに参加する農民男女が作成したものである。この計画は、政府の農業部門開発戦略計画2011-2020(PEDSA 2011-2020)の実施手法における空白を解決することを目指しており、小農の生産システムを中心に据えたマルチセクトラル(農業に限らない多様な部門を含む)なアプローチに基づいて作成されている。この計画は、気候変動に抵抗力がある在来のタネの生産、在来の知恵・文化そして農民男女の経験に価値を見出すことに基盤をおく公的な農業支援サービス、灌漑の潜在性の活用、生産力向上につながるインフラストラクチャーの整備と再整備、農業支援融資の促進を効果的に可能とする仕組みづくりと運用―――といった、食料主権を確立しモザンビークの全ての人々に適切な食料と栄養を保障することにつながる、農民家族の主権に根ざした要請に応えるものとなる。

UNACのジェンダー・ポリシーについての議論を踏まえ、我々の運動は、ジェンダー平等に関わる課題を農業部門の公共政策および我々の運動そのものに位置付けることが、モザンビークにおける農業のインクルーシブで持続可能な開発にとって不可欠であると考える。

現在、わが国が直面している政治的社会的状況についても、2014年度総会で注意が払われ分析された。ソファラ州のマシャンガ郡、シババヴァ郡、マリンゲ郡、ニャマタンダ郡、ドンド郡、テテ州のモアティゼ郡、マニカ州のマコサ郡、ナンプーラ州のラパレ郡、メクブリ郡、イニャンバネ州のホモイネ郡、フニャロウロ郡では、すべての農民男女の期待に反し、今年の前半期はほとんどまったく耕作できない状態に終わったため、農民たちは後半の耕作期に低地を活用することに望みをかけている。

我々は交戦する両者に速やかに敵対を終わらせ、紛争を解決する唯一の手段として武力を選ぶことを止めるよう求める。これらすべての軍事攻撃や衝突は、主権者である小農による農業の発展に寄与しないばかりか、モザンビーク人男女の社会福祉にまったく寄与することなく、これを終わらせることは緊急の課題である。同様に、我々は両紛争主体に対し、透明で民主的な対話の場――つまり、広範でインクルーシブな参加と効果が保証されるメカニズム――を早急に再建するよう要請する。

民衆の闘争においては誰も疲れを知らない。我々の犠牲によって我々は目的を達し、求める勝利を得る。我々、モザンビークの農民男女は、植民地解放闘争の困難な日々から今日までそうであったように、小農による農業の発展を求める闘いを断固として続けて行くことを約束する。手に鍬を持ち、大地をしっかりと踏みしめ、我々すべてがこの祖国を耕す子であると感じることのできる、我々が闘いそして解放を勝ち取ってきたものよりさらに活気あふれ良いモザンビークを夢見て!

団結する農民は常に勝利する!

ナンプーラ 2014年5月1日
全国農民連合(UNAC)

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